1. 登録プロセス・現状把握
まず、新規会員を獲得するためには「登録のハードルが低いこと」「導線が明確であること」が不可欠です。ブックライブの登録プロセスを振り返ると、次のような特徴があります。
- ブックライブは、 会員登録自体は無料で、月額料金・年会費などが発生しないという仕組みです。
- 登録方法として、メールアドレス入力 → 認証コード/URLクリック → ニックネーム・生年月日・性別・パスワード入力 →同意 →完了という手順が案内されています。
- また、メールアドレスだけでなく、外部サービスのアカウント(例:LINE、Yahoo! JAPANID、Apple Account)での登録も可能です。
- 新規会員登録を完了すると、例えば 「70%OFFクーポン」などの特典が得られるという情報もあります。
このように、登録自体のハードルをかなり低く設計しており、新規会員の入り口として適切なUXが整っています。加えて、登録後すぐに使えるクーポン特典があることで、「登録して終わり」ではなく「登録して使いたくなる」導線も設けられています。
この現状を踏まて、「新規会員獲得をさらに加速・効率化させるための施策」を以下に整理します。
2. 新規会員獲得のための施策カテゴリ
新規会員数を伸ばすためには、複数のアプローチを同時に実施することが効果的です。大きく以下の4つのカテゴリに分けて考えられます。
- 認知/興味フェーズ(見つけてもらう)
- 登録導線/動機づけフェーズ(登録させる)
- 登録直後フォロー/活用促進フェーズ(離脱防止・初利用促進)
- 提携/アライアンスフェーズ(異チャネル・新規層開拓)
以下、それぞれのフェーズで有効な手法・実践ポイントを掘り下げます。
2-1. 認知/興味フェーズ
まず、ユーザーに「ブックライブの存在」を知ってもらい、「ちょっと興味を持ってもらう」段階が重要です。具体的には:
- テレビCM・動画広告・YouTube広告:話題のタレント起用やキャッチーなコピー、マンガ・小説読書シーンなどを使った映像でインパクトを出す。先行事例では、ブックライブのCM展開が受賞実績ありという情報もあります。
- SNS広告・リターゲティング:特に若年層をターゲットに、TikTok/Instagram/X(旧Twitter)などでマンガ好き・ラノベ好き向けの訴求を実施。ユーザーの興味に応じてジャンル別広告を出し、「まず無料で読める」「新規限定クーポンあり」という訴求が効果を持ちます。
- オウンドメディア・コンテンツマーケティング:ブログ記事・レビュー・特集ページで「今、読まれているマンガ」「ライトノベルおすすめ10選」などを紹介し、その中で“ブックライブならこの作品が〇〇円で読める”という訴求を入れる。SEO施策としても有効です。
- 屋外・交通広告・イベント連携:マンガ・アニメ関連イベント、書店イベント、駅ポスターなど、“読書・コミック”に親和性の高い場での露出も有効です。ターゲットに応じて「通勤・通学中に読書ができる」「スマホですぐ読める」というメッセージを添えると、登録意欲を掻き立てます。
このフェーズでは「どれだけ多くの人にブックライブを知ってもらうか/興味を持ってもらうか」が鍵です。特に“電子書籍=マンガ・ラノベ”“スマホ読書”という文脈を使って、若年層・通勤層・ライトユーザーを取り込むことが期待されます。
2-2. 登録導線/動機づけフェーズ
ユーザーが「知った」だけでは会員にはなりません。「登録しよう」「登録する意味がある」と感じてもらう動機づけが重要です。ブックライブではすでに「無料会員登録」「新規限定クーポン」が導線の一部ですが、さらに拡充できる施策があります。
登録動線をスムーズにする設計
- 登録画面をスマホ最適化し、メールアドレス入力のみ→認証コード→必要情報入力(数項目)という流れをなるべく短く。実際、ブックライブでは登録情報として「パスワード・ニックネーム・生年月日・性別」の4項目というシンプルな設計です。
- SNSアカウント(LINE・Yahoo・Appleなど)との連携登録を可能にし、1クリックor少数クリックで登録できるようにする。これにより“煩わしさ”を減らします。
- 登録フォームやサイトのUIを、入力エラーや迷子にならないよう設計。例えば、メール届かない場合の案内、迷惑メールフォルダの説明など。
動機づけ・特典設計
- 新規登録限定クーポン:登録後すぐに利用できる大きめの割引クーポン(例:70 %OFFクーポン)を付与することで「今登録すればお得」という心理を刺激します。
- 限定無料作品・試し読み拡張:登録したその日に「まず1冊無料で読める」「対象100冊無料」などを案内し、登録後すぐに“体験”できるようにする。
- 時間限定キャンペーン:「登録から24時間以内に購入すると〇〇%OFF」「登録後48時間以内にログイン・購入でボーナスポイント」など“行動を促す”期限付きインセンティブを設けると、早期活用・定着につながります。
- SNS友達紹介・リファラル制度:既存会員からの紹介で、紹介者・新規登録者ともにポイント・クーポン付与という仕組みを作る。これにより口コミ・拡散効果が期待できます。
- 複数チャネル訴求:メール登録・LINE友だち登録・アプリDLを登録プロセスに組み込むことで、登録後の接点を増やし“新規登録”から“利用開始”までの流れをスムーズにします。
登録から初購入までの導線
- 登録完了画面で「今すぐ読める作品はこちら」「新規限定クーポンを使ってこの作品を選ぼう」という案内を提示。
- アプリ・ブラウザで「あなたへのおすすめ」「新刊一覧」「セール対象」などを強調表示し、初回購入をスムーズに誘導。
- プッシュ通知・メールで「50%OFFクーポン配布中」「1冊無料対象あり」などをタイムリーに案内し、登録直後の離脱を防ぐ。
このフェーズを強化することで、「登録者数」は増えても「登録しただけで離脱してしまう」率を減らし、真の“会員化+利用化”を目指せます。
2-3. 登録直後フォロー/活用促進フェーズ
新規会員を獲得したあとは、会員登録後の「利用開始」までの導線を整え、継続利用・定着化を図ることが重要です。登録数だけでなく“活動率・購入率”を伴う会員を増やすことが、サービス成長につながります。
初回体験の導線強化
- 会員登録直後に「まず読むべきおすすめ作品」リストを提示し、新会員に合ったジャンル(マンガ・小説・ビジネス書など)で“すぐ読める”体験を提供。
- 「マイ本棚を作ろう」「通知設定をONにしよう」など、アプリ内の初期設定を促すチュートリアルを表示し、使いやすさを体感させる。
- 初回購入・ログイン訪問・試し読みなど、一定のアクションを起こした会員に対してボーナスポイント・クーポンを付与する“インセンティブ付きオンボーディング”を設ける。
継続利用促進
- 毎日ログイン・来店ポイント制度:ログインやアプリ起動だけでポイントを付与し、「立ち寄り→購入」へのハードルを下げる。
- クーポンガチャ・日替わりセール:クーポンを毎日引ける・ジャンル別のセールが常にあるという設計は、継続的な訪問を促します。
- パーソナライズされたレコメンド・メニュー:新会員の登録情報(生年月日、性別、好きなジャンル)を活用して、「あなたにおすすめ」「このジャンルで人気」など提示。
- メール・プッシュ通知で「新刊/続巻配信」「フェア開催」「クーポン配布」などをタイムリーに案内し、利用機会を逃さないようにする。
- 定期的な“購入促進キャンペーン”:例えば「まとめ買いクーポン」「シリーズ完結割引」「新規購入者限定ボーナス」などを通じて、初回購入後も次の購入につなげる。
離脱防止対策
- 会員登録してから一定期間(例:1週間、1ヶ月)利用しないユーザー向けにフォローアップメール・SNSメッセージを送る。「読書始めませんか?」「クーポン残ってます」など。
- FAQ・チャットボット・サポートを整備し、アプリ・登録・初購入時の障壁を低くする。例:登録できない/クーポンが使えないといった声を速やかに解消できる環境が望ましい。
このように、登録後の“使い始め”と“継続利用”を促すことで、新規会員獲得の投資(広告・プロモーション費用等)を回収できる体制を整えることが肝要です。
2-4. 提携/アライアンスフェーズ
新規会員を獲得するために、異業種や他チャネルとの提携・アライアンスも効果的です。ブックライブにおいて想定できる施策を挙げます。
- 外部メディア/ポータル提携:ニュースサイト・マンガ系レビューサイト・ブログと提携し、「読める・始めるならブックライブ」という文脈でバナー・記事で紹介してもらう。
- 出版・レーベルタイアップ:出版社・レーベルと連携し、新刊配信記念に「ブックライブに登録すると初回〇〇%オフ」「登録+このレーベル作品を読むとボーナスポイント」などの特典を出す。
- 書店/リアル店舗連携:リアル書店で電子版登録を促すPOP・QRコードを設置。紙の購入客に電子も併用してもらう導線(紙+電子のハイブリッド活用)を作る。
- キャリア決済・プリペイド連携:携帯キャリアや電子マネー・ポイント系(例えば Tポイント・Vポイント 等)と連携し、「ポイント使える」「本を電子で読むとポイント還元」といった利用誘導を行う。実際、Yahoo! JAPAN IDで登録するとVポイント連携が可能という案内があります。
- キャンペーン/友達紹介プログラム:既存会員からの紹介で新規登録者に特典、紹介者にもポイント付与。友達誘導を仕組みにして口コミを活用する。
- モバイルアプリ・インストール誘導:スマホ利用者向けにアプリDL+初回登録特典をセットにし、アプリから登録を完了させると特典があるようにする。アプリDL時のバナーやアイコン最適化も重要。
提携・アライアンス施策をうまく活用することで、既存登録チャネルだけでは届かない“潜在層”“異ジャンル読者層”を誘引でき、新規会員母数をより拡大しやすくなります。
3. KPIと最適化ポイント
新規会員獲得を戦略的に進めるには、下記のような指標を定め、定期的にモニタリング・改善を行うことが重要です。
主要KPI
- 登録数(新規会員数/月):純増数。最も基礎となる指標。
- 登録→初購入率:登録者中、どれだけが初回購入を行っているか。登録だけで終わってしまう“幽霊会員”を防ぐ。
- コスト/獲得(CAC:Customer Acquisition Cost):新規会員一人を獲得するためにかかった広告費・プロモーション費用等。
- LTV(会員生涯価値):新規会員が加入後どれだけ使ってくれるか。購入頻度・金額・継続月数など。
- 離脱率/一定期間未利用率:登録から3ヶ月・6ヶ月でどれだけの会員が非利用状態になるか。
- 友達紹介数・リファラル率:紹介プログラムにおける紹介数・紹介から登録までの転換率。
最適化ポイント
- 登録フォーム離脱率を下げる:入力項目を最小化、外部ID連携活用、エラー表示の明確化などで“登録をやめてしまう”人を減らす。
- クーポン・特典の配布設計を最適化:特典が魅力的すぎて新規が殺到しても、その後の購入に繋がらなければ意味が薄い。初購入率とのバランスを見る。
- 広告・プロモーションのターゲティング精度:興味ジャンル・年齢・端末・ライフスタイルに応じた広告で無駄な表示を減らし、転換率を高める。
- UX・アプリ体験の向上:登録→初回購入までの離脱を防ぐため、サイト・アプリの読み込み速度・操作性・検索・決済のスムーズさを継続改善。
- 継続利用促進設計:登録直後だけでなく、3ヶ月・6ヶ月といった中期・長期フォローを設け、「また読もう」「次買おう」という導線を作る。
- 提携・キャンペーンの効果測定:どのチャネル/キャンペーンが新規会員獲得に最も寄与しているかを把握し、費用対効果の高いチャネルに注力する。
4. 新規会員獲得のための具体アイデア
ここまで述べた枠組みをもとに、ブックライブが実施可能な具体施策をいくつか提案します。
- 「登録だけで〇〇%OFF クーポン」キャンペーン:登録完了と同時に、人気作品またはジャンル限定で「初回70%OFF」などの大きめ割引を付与。期限を設けて即行動を促す。
- 期間限定“0円体験” or “1冊無料”キャンペーン:新規登録者限定で「まず1冊無料で読める」、または「新刊1冊無料」などを併用し、登録 → 即体験 → 購入へと導く。
- ジャンル特化キャンペーン:例えば「マンガ好き向け」「ライトノベル好き向け」「ビジネス書好き向け」など、ターゲットジャンルを絞って登録特典を設定。ジャンル別インフルエンサーとタイアップも有効。
- 友達紹介/シェアキャンペーン:既存会員に紹介リンクを発行し、新規登録者が紹介コードを入力すると双方にクーポン付与。SNS拡散促進。
- アプリDL+登録インセンティブ:スマホアプリをDLして登録した新規に限定ポイントや特典を付与。スマホ読書の習慣化を促す。
- 外部メディア/コンテンツ連携:マンガレビュー記事・書籍紹介ブログ・YouTubeチャンネルと提携し、登録誘導用のバナーや紹介リンクを設置。リンクから登録完了までの流れをスムーズに。
- リアル書店/イベントでQR登録誘導:書店のレジ横やマンガフェス等で「今すぐ登録!」QRコードを掲示し、登録したらその場で割引クーポン即配布。書店利用者の電子移行を促す。
- メール/SNSフォロー登録促進+特典:登録プロセスに加えて、LINE友だち登録・Instagramフォローを行ったら追加クーポン。複数チャネルの接点を確保。
- 登録後30日以内に次の行動を促すフォロー:登録してから1週間以内・2週間以内に「おすすめ作品」「クーポン期限」「レビュー投稿でポイント」などを案内し、体験から定着へ繋げる。
- 定期ログイン/来店ポイントキャンペーン:登録後最初の14日間に毎日ログインするとボーナスポイントという設計で、“習慣化”を支援。
5. 注意すべきポイント・リスク管理
新規会員獲得を追求する際には、以下のような注意点も意識しておく必要があります。
- “登録だけ”で終わってしまう会員の増加:登録者数が増えても購入・利用が伴わないとLTVが低く、コストを回収できないリスク。登録後のオンボーディング設計が重要です。
- 特典の乱発によるブランド価値低下:あまりに多く・頻繁に割引・クーポンを出すと「いつでも安く読める」イメージがついてしまい、正規価格での購入意欲が下がる可能性があります。
- 誘導プロセスが複雑になることによる離脱:登録・ログイン・購入までに煩雑な手順や迷子になるUIがあると離脱が増えるため、UX設計を丁寧に行う必要があります。
- データ・プライバシー/セキュリティ対応:外部ID連携やメール登録を活用する際、個人情報保護・認証セキュリティの確保が前提です。
- キャンペーン後の費用対効果検証の欠如:特典・広告にコストをかける以上、どの施策が成果につながったかを必ず測定し、改善サイクルを回すことが重要です。
- ターゲットのずれ/質の低い会員獲得:たとえば「とにかくクーポンだけ目当てで登録する」ユーザーが多いと、その後の購入率・継続率が低くなるため、ターゲット設定を精緻にする必要があります。
6. 成功に向けたロードマップ例
新規会員獲得を体系的に進めるためのロードマップ(工程)を以下に示します。
- 現状分析・目標設定
- 現在の新規登録数、初購入率、登録→購入までの日数、離脱率を把握
- 例えば「月間新規登録数を▲▲%増」「初購入率を▲▲%に改善」など目標を立てる
- ターゲット設定・訴求設計
- どの読者層(20代マンガ好き/30代ビジネス書読み/40代小説好き)を特に獲得したいかを定める
- その層に刺さるメッセージ・特典・チャネル(SNS・Web広告・書店等)を設計
- 導線設計・登録体験最適化
- 登録ページ・動線を簡易化(外部ID連携・入力項目最小化)
- 新規登録特典(クーポン/無料作品)を明確に提示
- 登録直後に「この作品読んでみよう」などのアクションを促す
- プロモーション展開
- 広告(Web/SNS/動画)・提携チャネル・書店連携を同時展開
- 友達紹介キャンペーンやアプリDL特典なども併せて導入
- オンボーディング・初回体験促進
- 登録直後〜7日間にログイン・試し読み・初購入を促すフローを設ける
- クーポン・ポイント・レコメンドを駆使して、「登録して終わり」ではなく「読んで続く」状態へ導く
- モニタリング・改善
- KPI(登録数/初購入率/CAC/離脱率)を週次/月次で分析
- 成果の高かったチャネル・キャンペーンを強化、低調なものは見直し
- ユーザーの声(UX/登録障壁)をフィードバックし、登録体験を改善
- 継続化・拡張
- 継続利用を促すためのポイント制度・ログインボーナス・シリーズ割引などを運用
- 既存会員からの紹介・口コミを通じた拡大施策を強化
- 新しく開拓したターゲット(例:シニア層/趣味実用書層)に向けた導線設計も行う
7. まとめ
ブックライブが新規会員獲得を成功させるには、単に「登録数を増やす」だけでなく、「登録から読書体験・購入体験にスムーズにつなげる」「継続利用に結び付ける」という流れを描くことが不可欠です。
- 登録プロセスはすでに簡易設計されており、無料登録・外部ID連携・登録特典などの仕組みが整っています。
- 認知から登録、初購入、継続利用までの一連のフローを強化することで、獲得効率・利用効率ともに高めることが可能です。
- プロモーション・UI/UX・インセンティブ・提携チャネルなど複数の要素を組み合わせて最適化していく必要があります。
- 新規会員獲得のコストを抑え、獲得した会員のLTVを高めるためには、登録後のオンボーディング・定着化がキーポイントです。
